「廃虚」を見学しませんか−−。弥彦村が取り壊し目前のホテルを見学するツアーを企画したところ、応募者が殺到し、村側も驚いている。当初の募集定 員40人に対し、既に3倍の約120人が応募。ツアーの対象となる「旧やひこ観光ホテル」が、インターネット上で「廃虚スポット」「心霊スポット」として 取り上げられていることが人気の背景にあるとみられ、村では急きょ定員を拡大し、現在の応募者全員が見学できるよう配慮する。
同ホテルは JR弥彦駅前にあり、鉄筋コンクリート造り地上7階、地下1階建て。1967年に建てられ、72年には昭和天皇が弥彦神社を参拝した際に宿泊したという由 緒あるホテルだ。だが、99年に運営会社が倒産して廃業。その後、所有者が税金を滞納したため公売にかけられ、村は今年8月、「村の玄関口が廃虚では困 る」と400万で土地と建物を購入した。早ければ来年度にもホテルを取り壊し、観光客を迎える駅前広場として整備する計画だ。
計画を受け、村民からは「取り壊し前にホテル内部を見てみたい」との要望があり、廃虚ツアーを企画。19日から募集を始めたところ、21日までに80人の応募があり、27日までに定員の3倍に達した。担当者は「問い合わせが殺到して、驚いている」と話している。
村では「再開発までの間の活用方法を模索したい」として、今後、ホテルを県フィルムコミッション協議会に登録し、映画の撮影場所として誘致することも検討している。
ツアーは31日に開催。応募は既に締め切っている。【真野敏幸】