<政宗生誕450年>仙台みそ 東京で息づく

仙台藩祖伊達政宗の生誕から450年の今も、江戸の同藩下屋敷で営まれたみそ製造が東京で引き継がれている。都内に5軒程度残るみそ製造所の一つ「八木合名会社仙台味噌(みそ)醸造所」(東京都品川区)は、宮城県内でも廃れたとされる仙台みそ古来の製造法を伝え続けている。
同醸造所は、仙台藩品川下屋敷の跡地でみその製造と小売りを手掛ける。屋敷内に1700年代半ばまで置かれたみそ蔵が明治維新後、仙台の素封家4代目の八木久兵衛に譲渡され、1902年に現在の会社となった。
市教委の調査によると、下屋敷では江戸各所の藩邸に常勤する1000人以上の藩士のため、仙台から運んだ大豆や米で地元風の辛口みそが造られた。甘口が主流だった江戸で一般向けにも販売されて評判になり、下屋敷は「仙台味噌屋敷」として知られるようになったという。
市教委は、同醸造所の醸造法がこうじの製造方法や大豆の蒸し方など多くの面で、宮城県味噌醤油工業協同組合の定める現在の仙台みその仕込み方と異なると指摘。「本場の仙台で廃れた古典的な醸造法を守り続けるまれな存在だ」と評価している。
醸造所の八木忠一郎代表社員(81)は「仙台藩との関わりを問うお客がたまにいる。この土地で造り続けることが大切だ」と話す。
仙台市は1月、都内に残る政宗や仙台藩ゆかりの地を紹介するリーフレットを2万部作成し、都内の歴史施設などで配布を始めた。JR飯田橋-秋葉原駅沿いの仙台堀や港区南麻布の仙台坂に加え、同醸造所も取り上げた。
八木合名会社仙台味噌醸造所の連絡先は03(3474)0505。

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