NTTドコモや韓国サムスン電子など日中韓3カ国の携帯事業者が参加して開発しているスマートフォンの新OS「Tizen(タイゼン)」を搭載したスマホが、今年2月に発表される見通しになった。スマホを動かすための基本的なソフトであるOSは米アップルの「iOS」と米グーグルの「アンドロイド」がシェア9割超を占めるが、タイゼン陣営は両社に対抗する第三極を築き、スマホを長期的な収益の柱としたい考えだ。
関係者によると、2月にスペイン・バルセロナで開かれる携帯電話の展示会「モバイル・ワールド・コングレス」の開幕に合わせ、サムスン製のタイゼン搭載スマホの発表が計画されている。タイゼンで使えるアプリ(応用ソフト)などを販売する「ストア」の開設も表明する予定だ。サムスンは早ければ今春から、タイゼン搭載の端末を発売する。日本ではドコモが年内発売を目指し、操作性などをさらに改善する考えだ。
米調査会社IDCによると、世界のスマホのOS別シェア(2013年7~9月)はアンドロイド81%、iOS12.9%。いずれもグーグル、アップルが細かく仕様を決めており、端末メーカーや通信会社が自由に改良できないなどの課題があった。
タイゼンにはそうした制約がなく、メーカーや通信事業者が自社の端末に合わせてOSを改良できるなど開発の自由度が高い上、アプリも作りやすい。開発費を参加企業で分担して1社あたりの負担を抑えるため、スマホの価格低下にもつながるという。先進国向けの中堅モデルや、新興国向けの廉価モデルなどへの搭載が想定される。
タイゼンはサムスンと米インテルが中心となって開発に着手。ドコモや富士通などの日本勢のほか、中国の華為技術(ファーウェイ)なども参加した。ドコモは、タイゼンを活用した事業を進める企業連合の議長を務める。当初は13年中にタイゼン搭載のスマホを発売する計画だったが、開発が遅れて延期されていた。