仙台市太白区のボランティア団体「日本語ティールーム」が同区の八木山市民センターと共催で開く日本語教室が今年で30年目を迎えた。地元の留学生の要望を基に始まり、地道に活動を続ける。メンバーの高齢化という課題に直面しながらも、関係者は「多くの受講者が気軽に楽しめる空間をつくり続けたい」と意気込みを新たにしている。
教室は週2回開催。毎回、地区に住む留学生ら10人前後が受講する。習熟のレベルに応じて初級―上級の3グループに分かれ、邦画や年中行事などを活用し、日常会話を中心に学ぶ。4月下旬にあった講座には12人が参加し、真剣な表情で講師の助言を聞いていた。
日本語の指導法を学んだメンバーが講師を務め、受講者には「親切で優しい」と好評だ。韓国出身で日本人の妻と暮らす受講者の金仁碩(キムインソク)さん(61)=太白区=は「長年受講し、妻の言葉をより深く理解できるようになった」と話す。
託児所を設け、授業の時間帯は、育児経験のある託児ボランティアが受講者の子どもらを世話する。関係者によると、子どもを預けながら学べる日本語教室は市内に3カ所しかないという。
教室は1990年1月に始まった。2018年度末現在、受講者の出身国は60カ国以上、受講登録者は延べ2519人に上る。
代表の日本語学校非常勤講師、武田いく子さん(61)は「30年間続けてこられたのは、運営ボランティアの皆が共に学ぶ姿勢を保ってきたから」と振り返る。
約20人のボランティアは代替わりを重ね、現在は60代が中心だ。武田さんは「地区の高齢化も進む。若い仲間への引き継ぎを進めつつ、多くの受講者が気軽に楽しめる空間をつくり続けたい」と将来を見据える。
教室は毎週水、金曜午前10時~11時半。参加無料。連絡先は八木山市民センター022(228)1190。