<景表法改正案>食品偽装に課徴金 売上額の3% 閣議決定

政府は24日、実際よりも著しく優良と誤認させるなどの不当表示をした事業者に、課徴金を科す制度を盛り込んだ景品表示法改正案を閣議決定した。ホテルや百貨店のメニューで昨秋以降に相次いだ、食材の虚偽表示問題を受けて導入を目指すことになったもの。課徴金額は違反商品やサービスの売上額の3%とし、開会中の臨時国会で成立すれば2016年度から実施する。
 課徴金とは行政当局が、法律を犯して不当利益を得た法人・個人から、その利益を没収する処分。金融商品取引法や独占禁止法などで導入されている。
 今回の景表法に基づく課徴金制度は、同法違反の不当表示をして再発防止の措置命令(行政処分)を受けた事業者が対象となる。具体的には、実際よりも品質などを著しくよく見せる優良誤認▽実際よりも著しく値段を安く見せるなどの有利誤認--の不当表示が対象。
 同法案によると、措置命令を受けた事業者の、不当表示の商品やサービスの売上額が5000万円以上あった場合に、消費者庁長官が課徴金を科す。その金額は不当表示による売上額の3%。消費者の被害回復を優先し、違反行為をした事業者が自主的に消費者に返金した場合、その分だけ課徴金を減額する。課徴金額以上を返金すれば、科されないことになる。
 また、同庁などが調査を始める前に不当表示を自主申告すれば、課徴金額は半減される。
 この課徴金制度は、昨秋以降に相次いだメニュー虚偽表示が直接の後押しとなって導入されることになったが、元々は2009年9月の消費者庁発足以前から議論されており、同庁にとって「5年越しの宿題」でもあった。背景には、不当表示の措置命令が10年度は20件だったが昨年度は45件に増えており、適切な表示制度に対する同庁の危機感もあった。
 「不当表示の売上額の3%」という課徴金額は、過去の違反事業者の売上高利益率などから決められたが、消費者団体などからは「3%では低すぎる」との批判もある。この点について有村治子消費者担当相は24日の閣議後記者会見で、「不当表示を抑止する目的を達成するために必要な水準という観点から設定した。妥当だと考えている」と述べた。【江口一】
 【ことば】景品表示法
 不当な表示などを取り締まる目的で、1962年に制定。輸入牛肉を国産のブランド牛と偽ったり、食品添加物を使っているのに「無添加」と表示したりする例は、実際よりも著しく良く見せる「優良誤認」▽「今なら半額」と表示しながら、実際には常にその値段だったりする例は、実際より著しく有利に見せる「有利誤認」で、それぞれ同法違反となる。公正取引委員会が所管していたが、2009年9月から消費者庁に移管された。
<景品表示法改正案のポイント>
▼課徴金は不当表示された商品・サービスの売上額の3%
▼課徴金の対象は不当表示の売上額5000万円以上の場合
▼自主申告した事業者は課徴金を半分に減額
▼被害者に自主返金した場合、その分を課徴金から減額

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