<最低賃金>5%超が下回る…東京、大阪の中小 今年度

国が定める最低賃金を下回る給与で働く中小企業労働者の比率が、2016年度に東京都と大阪府で5%を超えたことが全国47労働局の調査で分かった。12〜15年度の全国平均1.9〜2.1%を大幅に上回り、前年度比で東京は3.8倍、大阪は1.4倍に急増。北海道や東北、東海でも3%以上の地域があった。最低賃金は14年連続で伸びているが、賃上げが追いつかず、ルールを無視した低賃金労働がまん延している実態が浮かんだ。

毎日新聞が全国の労働局と厚生労働省に情報公開請求し、12〜16年度の全都道府県のデータを得た。

厚労省は毎年6〜7月、労働局を通してパートを含む従業員が30人未満(製造業などは100人未満。建設業や運輸業は対象外)の約10万事業所に従業員の給与を尋ね、最低賃金未満で働く人の比率(未満率)を割り出している。秋の最低賃金改定の参考にするためで、地方最低賃金審議会に示している。

16年度の未満率が最も高かったのは大阪府の5.5%で東京都の5.3%が続いた。前年度は大阪が3.9%、東京が1.4%で、それぞれ1.6ポイントと3.9ポイント上昇した。12〜16年度に5%を超えたのは他に北海道(12、13、15年度)と沖縄(15年度)、三重(同)だけだった。

16年度で他に未満率が高かったのは、岐阜3.5%▽北海道3.2%▽岩手3.0%▽沖縄2.9%−−など。26都府県で前年度より上昇した。零細企業ほど高くなる傾向があり、東京では10人未満の事業所に限ると7.7%だった。

未満率上昇の一因とされるのが、最低賃金の引き上げだ。03年度以降14年連続で上昇し、引き上げ額(時給)の全国平均は、12年度12円▽13年度15円▽14年度16円▽15年度18円▽16年度25円−−と、12年度以降は毎年10円以上伸びている。

求人情報会社の調査では、アルバイト・パートの時給は全国平均で1000円前後に上昇しているが、違法性を認識しながら給与を据え置いたり、最低賃金の確認を怠ったりする雇用主が増えているとみられる。

最低賃金は今年10月の改定で全国平均が823円になり、初めて800円を超えた。政府は1000円の実現を目指している。【小林慎、原田啓之】

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