<東京五輪>東北ホストタウン つながりは?

2020年東京五輪・パラリンピックに参加する海外の選手らと地域住民の交流を促進する「ホストタウン」構想で、政府は26日、地方自治体が申請した計画 のうち、25都道府県の44件を第1次登録として正式決定した。東北からは仙台市など7市町が事前合宿誘致や交流事業などを進める構え。五輪成功に向け盛 り上げを図るとともに、東日本大震災からの復興もアピールする。

●仙台市
仙台市はイタリアのサッカーとバレーボールの選手団の 事前合宿を誘致する。16年度に同国関係者を招いて開く交流イベントを皮切りに、慶長遣欧使節の特別展やサッカーのユースチームとの親善試合などを企画。 イタリアが地震国であることを踏まえ、防災関連のシンポジウムも計画している。
奥山恵美子市長は「東日本大震災からの復興に向かう本市と東北の姿の発信を目指す」とのコメントを発表。仙台日伊協会事務局長の三野宮勝さん(80)は「通訳の派遣で交流事業を支援したい」と意気込む。

●青森・今別町
青森県今別町は、阿部義治町長が元国体選手であるなどフェンシングが盛んな町。モンゴルとは強化合宿で交通費や宿泊施設、競技施設などを町が無償提供する ことで基本合意している。町教委教育課の綿谷広巳課長は「ジュニア選手には合宿を通して実力を付けてほしい」と期待する。

●宮城・蔵王町
引き揚げ者の縁から戦後70年の節目に交流の機運が高まった宮城県蔵王町とパラオ。町は今月、「未来への交流・絆訪問団」をパラオに派遣したばかりだ。
現地で懇談した政府高官から、東京五輪の事前合宿の実施や青少年の相互訪問事業について前向きな回答を得た。町まちづくり推進課の平間喜久夫課長は「国の財政支援を受けられる条件が整った。これまでの交流を踏まえより良い方向を早急に検討する」と話す。

●秋田・美郷町
タイが相手国の秋田県美郷町生涯学習課の煙山光成課長は「歴史や文化的な面でも交流を深めていくきっかけにしたい」と歓迎。今後、町内の中学校にあるバドミントン部の選手らをタイに派遣して合宿することで、相互交流を深める。

●山形・上山市
上山市は陸上選手が合宿した縁から、ポーランド側に東京五輪前の合宿実施を働き掛ける。選手らに特産のサクランボやブドウ、ワインを提供し市の魅力をPRする。市スポーツ振興課の舟越信弘課長は「市全体でポーランド代表を盛り上げていく」と語る。

●福島・猪苗代町
福島県猪苗代町は、ガーナの選手を講師にしたスポーツ教室の開催を計画するほか、選手たちに地元のコメやソバを提供し、東京電力福島第1原発事故による農 作物への風評被害の払拭(ふっしょく)につなげたい考えだ。前後公町長は「町として全町民を挙げてガーナの選手をお迎えする。風評被害を払拭し、安全、安 心な町を世界に発信したい」と意欲を示す。

●福島・郡山市
郡山市はオランダ代表の合宿誘致を進める。18年にはブルメン市との姉妹都市30周年を迎え、オランダの音楽団体の招致や来日したスポーツ選手との交流を実施する計画だ。
品川万里市長は原発事故に伴う放射能への不安が出かねないことについて「郡山の放射線量が低いことを分かってもらえるよう情報発信に努めていく」と話した。

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