企業の2019年春の新卒者採用計画で、東北に本社を置く主要企業の29.2%が18年春より採用数を増やすことが24日、河北新報社が実施したアンケートで分かった。18年春の計画を聞いた前年調査より1.9ポイント上昇した。人手不足などを背景に商社や製造業で採用意欲が高まっている。
採用計画の推移はグラフの通り。「増やす」と回答した企業は東日本大震災後の12年春以降、3割前後の水準が続く。19年春は「減らす」が7.9%、「採用しない」は2.2%だった。
業種別で「増やす」の割合が最も大きいのは総合・専門商社とエネルギーの50.0%。サービス・情報は44.4%、建設・住宅と製造が42.9%で続いた。
銀行と信用金庫は「増やす」がゼロ。専門店・小売りは20.0%、運輸は25.0%にとどまった。銀行は「前年並み」が33.3%、信金は「減らす」が75.0%だった。
企業別では、やまや(仙台市)が18年春の2.3倍の100人を計画。ヨークベニマル(郡山市)は74人増の250人を見込む。
19年春の採用規模と過去のピーク時との比較は「ピーク時以上」「同水準」が合わせて45.0%を占めた。採用環境を聞いた質問では69.7%が「前年に比べて売り手市場」と回答。前年調査より7.1ポイント上昇し、学生有利の状況が続く。
企業の採用状況は厳しさを増している。18年春の実績は、計画通りの人数を採用できた企業が前年比3.9ポイント増の39.3%。業種別は銀行が80.0%、信金が75.0と高水準を維持したが、総合・専門商社と運輸は1社も計画通りの採用ができなかった。
18年春採用の応募率は「70~90%未満」の企業が28.1%で最多。「50%未満」の企業も多く、製造は21.4%、建設・住宅は14.3%に上った。
自由記述では「地方の優秀な人材が大都市圏へ流出している」「応募者が少ない上、内定辞退者が増加して苦慮している」との指摘が複数あった。
アンケートは東北の上場企業など126社を対象に2月中旬~3月下旬に郵送で行い、89社(70.6%)から回答を得た。