過剰な貸し付けが問題となっている銀行カードローンを巡り、東北の地方銀行と第二地銀が審査の厳格化や広告宣伝自粛などの対応に乗り出した。全国銀行協会(全銀協)の要請を踏まえた措置。各行頭取は2017年9月中間決算の記者会見で「過度な貸し付けはしていない」と強調した。
全銀協は、配慮を欠いた広告宣伝の抑制や消費者金融市場の健全性の維持を会員の全行に要請。通知文書で3月、「個人の年収に対する借入額の比率を3分の1以内にする」「50万円超の貸し出し審査には年収証明書が必要」などと具体的な留意点を示した。
青森銀行や七十七銀行、仙台銀行は借入額上限を年収の3分の1に設定した。七十七銀の氏家照彦頭取は「批判があるのは承知している。全銀協のルールに従っている」と説明。青森銀の成田晋頭取は「審査態勢を確認する意味で上限を設けた」と述べた。
年収証明書を提出する条件も厳格化された。東北銀行(盛岡市)は5月、提出を求める借入額を300万円から50万円に引き下げ、岩手銀行は7月に500万円から50万円に改めた。
チラシの表現変更やテレビCMの自粛はほぼ全行が即応した。ある銀行幹部は「CMにあった『収入証明書不要』の表現は全部外した」と明かす。
審査などの見直しを進める一方、一定のニーズがあるとして、各行は引き続きカードローンを取り扱う。
北日本銀行(盛岡市)の柴田克洋頭取は「年収や勤続年数に準じた独自の審査モデルがある。自ら目利きして多重債務にも配慮している」と強調。仙台銀の鈴木隆頭取は「お客さまのニーズに合った対応をしていく」と理解を求めた。
全銀協によると9月末のカードローン残高合計は地銀64行が1兆5956億円、第二地銀41行が3795億円。都銀を含む全116行は4兆4178億円。