生体の細胞内で重要な役割を果たすコラーゲンやラミニンなどの可溶性タンパク質の分泌を制御する物質を特定したと、東北大の福田光則教授(細胞生物学)の研究グループが9日、発表した。
細胞内のタンパク質には細胞の外で働く可溶性タンパク質と、細胞膜で作用する膜タンパク質がある。細胞で作られ、小器官「小胞体」と「ゴルジ体」を経て細胞膜に到達後、外部に分泌されるなどする。
二つのタンパク質はゴルジ体で同じ小胞に入って細胞膜へ送られる。可溶性タンパク質は細胞外に出され、膜タンパク質は膜の成分としてとどまるとされていた。
グループは、可溶性タンパク質の分泌に作用する低分子タンパク質を特定。この物質を欠いた輸送小胞は分解されてしまうが、膜タンパク質の量に大きな影響がなかったため、膜タンパク質が別の小胞で運ばれている可能性が出てきた。
福田教授は「ゴルジ体でのタンパク質の選別を人為的に制御できれば、将来の創薬などにつながるのではないか」と話す。研究成果は米科学誌に掲載された。