東京急行電鉄は25日、東京都世田谷区を走る世田谷線の始発から、東北電力の水力・地熱発電で電力の全てを賄う運転を始めた。両社によると、再生可能エネルギー電力100%による都市型電車の通年全列車運行は国内初。
グループで国内最多の水力発電所227カ所を持ち、地熱発電所の総出力が国内の43%を占める東北電が東急に打診。電車の運行に必要な電力量を常に上回る再生エネ電力を供給し、随時確認して再生エネ100%を担保する。両社が出資する首都圏の電力小売業東急パワーサプライが仲介する。
世田谷線の2018年度電力使用量215万6000キロワット時(見込み)で試算した二酸化炭素の排出量は1263トン。再生エネ100%への切り替えで、事実上ゼロとなる。
東急にとって電気料金はやや割高となるが、中期経営計画に掲げる「低炭素・循環型社会」を実現する施策の一環として採用した。運賃は据え置く。
出発式は電気記念日の25日に合わせて三軒茶屋駅であった。東急の巴政雄副社長は「一人一人が循環型社会をより身近に考えるきっかけになれば幸い」と述べ、東北電の岡信慎一副社長は「長期的な視点に立ち、再生エネをこれまで以上に有効活用していきたい」と語った。
同線は三軒茶屋-下高井戸間の約5キロを結ぶ路面電車。17年度の1日平均輸送人員は5万7541人。