<東日本大震災>被災地のプラごみ回収し玩具に 民間団体など連携、環境保全のまちづくり支援

深刻な海洋汚染を引き起こすプラスチックごみのリサイクルが、東日本大震災の被災地で広がっている。洗剤などの使用済み詰め替えパックを回収してブロック玩具に成形する試み。民間団体や企業が連携して石巻市と宮城県女川町で展開し、環境保全を軸とした復興まちづくりを支援する。

一般社団法人サスティナブルデザイン工房(山形県最上町)が花王、特定非営利活動法人いしのまき環境ネット(石巻市)と実践する。石巻市と女川町の活動は昨年4月に始まり、全域に及ぶ。今月3日には石巻市に活動拠点を設けた。
洗剤やシャンプーの詰め替えパックを地域住民や学校の協力を得て回収。洗浄、断裁を経てプラスチックの原料となるペレットに加工し、縦8センチ、横16センチ、高さ5センチのブロックを作る。
石巻市の場合、市役所や各総合支所、災害公営住宅など計13カ所に専用の回収ボックスを常設。スタッフが定期的に回収する。女川町はごみ収集の際、全戸に分別の徹底を呼び掛ける。
パック10枚前後でブロック1個ができる。これまで両市町合わせて約1万2700枚(9月12日集計)を集め、1270個のブロックができた。ブロックは地域の子ども向けのイベントなどに活用している。
サスティナブルデザイン工房は震災の復興支援を目的に2016年に結成。コミュニティー支援や金華山の観光復興支援などに取り組んできた。
押切珠喜代表理事は「プラごみは世界的に削減の流れにあり、活動は活気づいている。復興で生まれるまちを環境に配慮した地域にし、世界のモデルとしたい」と話す。
花王はプラスチック製容器包装の新しい資源循環に向けた研究を進めている。今回のブロック作りの試みは宮城県のほか、徳島県上勝町、神奈川県鎌倉市でも繰り広げている。
同社研究戦略・企画部の横須賀道夫部長は「楽しみながら生活の意識を変え、結果的にリサイクルが進む世の中になればいい」と期待する。

[プラスチックごみ]飲料や洗剤のボトル、詰め替えパック、建築資材などプラスチック製品を廃棄したごみ。不法投棄や不適切な埋め立てにより、世界で年間800万トン以上が海に流出しているとされる。大きさが5ミリ以下の微細なものはマイクロプラスチックと呼ばれ、生態系に及ぼす影響が懸念されている。環境省は2030年までに、使い捨てプラスチックの排出量を25%削減する数値目標を設定。年内をめどに「プラスチック資源循環戦略」を取りまとめる。

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