東海道新幹線の新型車両「N700A」の運行が8日、スタートした。JR東京駅では「N700A」開発関係者らが見守る中、午前7時に新大阪行き「のぞみ203号」が定刻通りに出発し、東海道新幹線の新たな歴史の幕開けを祝った。
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「のぞみ203号」の出発を前にした式典でJR東海・新幹線鉄道事業本部長の関雅樹氏は「まさに最新、最高の車両と自負している。東海道新幹線が誕生して約半世紀。日本の大動脈を担ってきた。これからも世界最高水準の輸送サービスを提供していく」とあいさつした。
東海道新幹線としては約6年ぶりの新型車両となる「N700A」は、「N700」と同じ最高速度270キロ。外観もほぼ同じだが、「安全性」や「快適性」などの性能が向上、名称につく「A」は「Advanced(進化)」を意味している。
安全面では「中央締結ブレーキディスク」を導入し、地震の揺れをキャッチすると、通常よりも強いブレーキを作動させることができるようになった。これによりブレーキ距離を約1~2割短縮させて、より早く車両を止めることが実現した。
また新幹線で初となるATC(自動列車制御装置)からの速度や走行位置などの信号を活用する「定速走行装置」を搭載。制限速度を自動制御し、高い精度で目標速度にさせることを実現し、ダイヤが乱れた場合にも、すみやかに遅れの回復が図れるという。台車の故障を未然に検知する「台車振動検知システム」も新幹線初のシステムだ。
乗車の際に気になる快適性は、グリーン車壁に新型の制振パネルを設置、普通車の一部の床の吸音性も向上させ、「静粛性の高い車内」(JR東海)を実現している。【江刺弘子】