<次世代型放射光施設>仙台の産学官が文科省に応募 兵庫は見送り

次世代型放射光施設の実現を目指す産学連携組織の光科学イノベーションセンター(仙台市)など関連団体は22日、国と連携して整備運用するパートナーへの応募提案書を文部科学省に提出した。応募を検討していた兵庫県は同日までに見送った。

同省は申し込みを同日締め切り、23日に公募結果を明らかにする。選定は6月初旬になる見込み。
パートナー公募にはセンターをはじめ、宮城県、仙台市、東北大、東北経済連合会が共同で申し込んだ。
提案では、東北大青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)の約6万6000平方メートルに施設を建設する。産業界が使いやすい運営や東京から2時間未満という交通アクセスの良さに加え、東北大との連携を通じ企業や研究開発拠点の集積が見込める点を盛り込んだ。
建設費約340億円のうち、パートナーが負担する約140億円は地域一体での財源確保を明記。センターが1口5000万円の施設利用権付き出資を企業に募り、既に約50社が応じる意向を示している。土地造成や施設整備、税の減免で県や市も後押しする。
センターの高田昌樹理事長(東北大総長特別補佐)は「選定されれば東北をはじめ国内の新しい技術革新拠点になる。審査に万全を期したい」と話した。
文科省は今後、科学技術・学術審議会の小委員会の意見を踏まえて選定する。国側の整備運営主体は量子科学技術研究開発機構(千葉市)。早ければ2019年度着工、23年度中の運営開始となる見通し。
放射光施設は文科省が今年1月に建設方針を発表し、パートナー公募を開始した。兵庫県は既存施設を含む放射光施設の集積を狙い、応募を検討したが断念。全国で唯一、誘致の意向を表明した仙台市への建設実現が有力となっている。

[放射光施設]リング型の加速器を光の速さで回る電子が、方向を曲げた時に発する光を使ってナノレベル(10億分の1メートル単位)の物質解析をする。国内には理化学研究所の「スプリング8」(兵庫県佐用町)など9施設ある。次世代型施設は物質の電子状態を解析する軟エックス線領域に強みがあり、高性能の電池や新薬、省エネ材料などの開発が期待される。

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