<水管理システム>静岡・三島の源兵衛川「世界水遺産」に

静岡県三島市を流れる源兵衛川の水管理システムが「世界水会議」(本部・フランス)が主催する「世界水遺産」に登録された。申請したNPO法人グラウンドワーク三島(GW三島)に連絡が届いた。源兵衛川は2016年11月には「世界かんがい施設遺産」にも登録されている。

世界水遺産は、歴史的水管理システムや管理組織を登録、表彰する制度。100年以上続く▽地域の知恵や努力で作られた▽地域の社会経済に貢献している−−などが条件。世界水会議は、水問題解決に向け議論する世界水フォーラムを3年に1度開いており、源兵衛川は3月にブラジルで開かれるフォーラムで表彰されるという。

源兵衛川の世界水遺産は、管理する中郷(なかざと)用水土地改良区とGW三島が連名で「パートナーシップによる源兵衛川の管理・再生システム」の名で申請。源兵衛川開削で富士山の雪解け水の湧水(ゆうすい)を農業用水として安定的に供給可能となった▽100年以上前の自然分水路などが今も機能している▽住民も洗濯や自宅の池への導水に利用し地域社会で活用してきた−−と訴えた。

源兵衛川は室町時代後期、地元の有力者の寺尾源兵衛が水田開発のため開削した用水路で長さ約1500メートル。1960年代にはどぶ川と化したが、住民らが環境保全活動を実施。現在は上流部は街中を流れるせせらぎとして親しまれている。

GW三島の渡辺豊博専務理事(67)は「水辺の自然環境再生と維持に地域一丸となって取り組んだ努力が評価された。三島の宝が世界の宝にランクアップした証し」と喜んだ。【石川宏】

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