<水道3事業一本化>住民にとっての利点は?

県広域水道3事業の一体化による民営化構想について、県は一部市町村の水道用水供給事業も民営化の対象に加えることを検討している。「水源から蛇口まで」をキャッチフレーズに経営効率化の狙いを強調する県。市町村には「コストが下がる」と期待がある一方、住民にとっての利点を図りかねる見方も多い。
県が民営化対象に想定するのは上水道を県広域水道に全量依存している市町村。参加の是非は各自治体の判断に委ねる。
各市町村とも、老朽化した設備や管路の更新費の工面が喫緊の課題だ。村田町は「経営規模が大きくなれば更新経費が抑えられるのではないか」と県構想への参加を検討する。
人口減少に伴う水道利用量の減少で水道事業は経営悪化が予測される。大和町は「人口は必ず減る。将来は県の広域水道と一緒になって、各家庭に水を供給できる体制が望ましい」と期待する。
水道料金が変動するかどうかも各市町村の関心は高い。
家庭の毎月の水道料金は県内平均が10立方メートル当たり2139円(2015年4月1日現在、日本水道協会調査)。全国平均の1535円を大きく上回る。「県南と県北は給水面積に対し給水人口が少ない。投資効果が低い」(県水道ビジョン)ことが要因だ。
柴田町は「料金がさらに上がるのかどうかが(構想参加の)判断材料。メリットとデメリットを見極めたい」と指摘。「まずは詳しい説明を聞きたい」(富谷市)、「現段階では何とも言えない」(大衡村)と慎重姿勢も目立つ。
県の犬飼章公営企業管理者は県議会2月定例会予算特別委員会分科会で、スケールメリットによる経営効率化を強調。「民間企業の側には市町村の水道事業も手掛けたいという要望がある。市町村の自主性に任せたい」と理解を求めた。

[水道3事業の一体化構想]「みやぎ型管理運営方式」として大崎と仙南・仙塩の両広域上水道、仙塩、仙台圏、仙台北部の3工業用水、仙塩、阿武隈川下流の両流域下水道事業を統合。民間企業が出資して設立する特定目的会社に運営権を付与する。会社が料金収入とコスト削減で利益を確保し、県は料金設定の権限を持つ。完全民営化ではなく、県の関与を残す。

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