東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の海水浴場は今季、新たに4カ所が再開し、計20カ所が海開きする。再開はいずれも7年ぶり。海の日(17日)を前に15日から本格化する。海水浴場は震災前、3県で計約70カ所あり、再開は3割弱にとどまるが、「復興が勢いづく」と地元の期待が高まっている。
3県の観光協会などによると、今夏開設の海水浴場は地図の通り。今季の再開は越喜来浪板(大船渡市)、浦の浜(岩手県山田町)、袖浜(宮城県南三陸町)、薄磯(いわき市)の4カ所。開設は昨季比で岩手が2増1減の8カ所、宮城が1増の9カ所、福島が1増の3カ所となる。
越喜来浪板は22日に海開き。大船渡市の担当者は「『海の町』をやっとPRできる」と胸をなで下ろす。山田町で2カ所目となる浦の浜も22日に再開。町は「観光面の復興に弾みがつく」と集客に期待する。
15日に海開きする袖浜は、宮城県が地盤沈下した砂浜を約1メートルかさ上げした。南三陸町は「商店街再開に続いて町の大きなシンボルになる」と喜ぶ。
薄磯は15日に海開き。震災前は年に25万人が訪れた。東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質検査を行い、安全性を確認。福島県は「正確な情報を公開し、利用者の不安を拭いたい」と強調する。
他に仙台市若林区の深沼は29、30日、事前申し込みによる地元限定で、震災後初めて遊泳を解禁する。
復興工事や原発事故の影響で、3県の7割強は再開できない状況だ。消失した約2キロの砂浜の再生工事が続く陸前高田市の高田松原について、岩手県は「約1キロ再生できるのが早くても来年度。それまでは難しい」と説明。2012年に再開した宮古市の藤の川はその後、防潮堤工事が始まり、今夏は中止となった。
石巻市では震災前の6カ所のうち、網地白浜と白浜が13年に再開。渡波が18年、荒浜が19年にそれぞれ再開を予定する。十八成(くぐなり)浜は再開のめどが立たない。田代は復旧せず、親水公園として整備した。