東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島各県の海水浴場は今夏、新たに2カ所復旧し、17カ所が開設される。1888年開設と東北最古の菖蒲田(宮城県七ケ浜町)は6年ぶりのオープン。防潮堤など周辺の復旧工事が続き、再開できない海水浴場は依然多い。
3県の観光協会などによると、今夏の海水浴場は地図の通り。岩手7、福島2は昨年と同じ。宮城は菖蒲田に加え、2013、14年夏に日曜限定で再開した東松島市の月浜が6年ぶりに本格的に再開し、震災前(10年夏)の28カ所のうち8カ所が開設される。
菖蒲田は10年、5万2000人が訪れた宮城県内有数の海水浴場。今月29日から10日間、試験的に再開する。運営は地元住民に代わり、町観光協会が担 う。避難路の表示やライフセーバーの配置で、安全確保に努める。約5000の人出を見込む町観光協会は「まだ途上だが、町の復興をアピールしたい」と意気 込む。
30日~8月11日に開設する岩手県大槌町の吉里吉里は、県の防潮堤工事が本格化するまでの限定で3年目になった。町商工観光課は「工事区間が海水浴場からまだ離れており、問題ないと判断した」と話す。
震災前に3県で約70カ所あった海水浴場の多くは、再開を見通せないまま。津波で砂浜を失った陸前高田市の高田松原は砂浜再生の試験工事中。岩手県は「本 格工事は砂の定着具合を確認してから。復旧は2キロあった海岸線の半分」と説明し、海開きが可能な時期はまだ判断できないという。
石巻市では震災前にあった5カ所のうち網地白浜が13年にオープン。同年に住民が復活させた北上地区の白浜は今夏も30、31の両日限定で海開きする。
他の再開は、防潮堤整備が続く渡波が18年か19年、石巻荒浜はさらに数年後の見込み。十八成(くぐなり)浜は「国や県の復旧工事の進展による」(市観光課)ため、見通しが立っていない。