<温暖化対策税>復興財源への活用検討 12年度導入方針

 政府は12日、今年度中に導入を予定している地球温暖化対策税(温対税)を東日本大震災の復興財源として活用する方向で検討に入った。温対税の税収を時限付きで、復興財源に回せるようにする。温対税が導入されれば、15年度までの計6000億円超の税収が見込まれる。この分を活用して、復興費用を賄うための所得税や法人税の臨時増税幅の圧縮につなげたい考えだ。【坂井隆之、小倉祥徳】
 温対税導入を盛り込んだ税制改革法案は野党の反対で国会で継続審議になっており、政府は今後、野党の合意取り付けに向けた協議を急ぐ方針。
 温対税は、企業の温室効果ガス排出抑制策を支援する財源として、政府が11年度の税制改正法案に盛り込んだ。具体的には、原油や天然ガスなどの輸入時にかかる石油石炭税について、二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税を強化する内容。政府は今年10月から導入し、段階的に税率を引き上げる計画だった。税収を企業の温暖化対策支援などに限る目的税化する方針だった。
 政府が今回、検討しているのは、温対税導入のための税制改正法案を成立させた上で、12年度から4年間に限り、税収を復興財源に充てられるような法的措置を講じる。使途は被災地での省エネ対策や再生可能エネルギー関連施設の導入などを中心にすることで、納税する石油業界などの理解を得たい考えだ。
 政府が提出した税制改正法案の多くは先の通常国会で継続審議となり、温対税も棚上げされている。復興財源化の背景には、所得税や法人税など国民の負担感の重い「基幹税」の増税幅を圧縮することで臨時増税への理解を得るとともに、温対税導入の道筋をつけたい狙いがあると見られる。
 復興財源を巡っては、増税への反発が強い与党への配慮から、安住淳財務相が税外収入や歳出削減などによる財源の上積みで増税幅を「兆円単位」で圧縮するよう財務省に指示している。

タイトルとURLをコピーしました