東日本大震災の被災世帯向けに宮城県亘理町が同町吉田に建設していた集合型災害公営住宅「大谷地住宅」(30戸)が完成し、転入予定者の内覧会が20 日、2日間の日程で始まった。入居開始は8月1日の予定。町が計画した集団移転先の分譲宅地と災害公営住宅計677戸分の住まい再生は、これで完了する。
大谷地住宅は津波で浸水したJR浜吉田駅近くにあり、鉄筋3階、延べ床面積は2412平方メートル。2DKから3LDKまでの各部屋に加え、開口部が広く 確保されたエントランスホール、津波被害を防ぐために3階部分にテラス付きの集会所を設けた。当初の整備計画は50戸だったが、入居希望者が募集を大きく 割り込んだため設計規模を縮小。この影響で完成が約2カ月ずれ込んだ。
内覧会には完成を待ち望んだ転入予定者らが訪れ、町職員や関係業者から設備の説明を受けたり間取りを確認したりした。26日に斎藤貞町長から鍵の引き渡しを受ける。
2DKに1人暮らしをする予定の宍戸譜子さん(81)は「完成が遅れるのを知った時はがっかりしたけど、震災前の自宅に近い場所に戻ることができてうれしい。近所の方も『早くおいで』と待ってくれている」と笑顔で話した。
町は、集団移転先の町内5地区6カ所に分譲宅地200区画を、災害公営住宅として町内4地区に集合型380戸、5地区に一戸建て97戸を整備。昨年10月の荒浜地区の西木倉住宅(100戸)から順次、引き渡しを進めてきた。
今後は空きの解消が課題となる。宅地はことし3月現在で19区画、災害公営住宅は4月の5次募集終了時で117戸が埋まっていない。大谷地住宅も入居決定は20戸にとどまる。町は町外を含め、再建方針が決まっていない被災世帯に移転を呼び掛けている。