<狩猟免許>狩りガール急増で最多 “ジビエ”人気背景に

奈良県内で狩猟免許を取得している女性が2016年度末時点で62人と、過去最多に上っていることが、県への取材で分かった。ハンター不足による鳥獣被害が取り上げられたり、野生鳥獣の肉を使ったジビエ料理が注目されたりしている中、狩猟に関心を寄せる「狩りガール」が急速に増えているとみられ、狩猟免許取得者を増やそうと取り組む県の担当者も「思った以上で、うれしい驚き」と喜ぶ。【矢追健介】

県内を含め、山に囲まれた紀伊半島内陸では古くから狩猟が盛んだ。県によると、記録が残る1979年度以降の県内の狩猟免許取得者数は、81年度には3368人を数えたが、その後は減少傾向となり、2000年代半ばには1600人台に落ち込んだ。60歳以上の割合が現在7割弱と高齢化も進んでいる。

一方、ここ数年は2000人近くまで増え、盛り返しの兆しが見える。中でも注目されるのが女性ハンターの顕著な増加だ。00年代前半までは一貫して10人未満だったが、11年度に15人となり、13年度は25人、さらに14年度には34人。男性に対する割合こそまだ低いが、急増ぶりが目立つ。全国でも13年度に2600人超の女性が免許を取得した。

◇奈良女にサークル

環境省が狩猟フォーラムを各地で開催するなど、県も含めた行政は鳥獣被害防止の一環で若手ハンターの育成に取り組んでいる。ジビエ(野生鳥獣肉)の普及も狩猟への関心が高まる背景のようだ。奈良女子大の狩猟サークルに所属する大学院生、竹村優希さんは「地域に関する研究で野迫川村に行った際、狩猟のことを知って興味を持った。他大学にはジビエや狩猟をゼミ活動に取り入れている所もある」と話す。

県猟友会の上田光彦会長は「もっと女性に興味を持ってもらい、若手ハンターの増加につなげたい。女性ハンターの横のつながりも作っていきたい」と話した。

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■ことば

◇狩猟免許

狩猟の際に必要な免許で▽第1種銃猟(散弾銃、ライフル銃)▽第2種銃猟(空気銃)▽わな猟▽網猟−の4種類。銃猟は20歳、それ以外は18歳以上などの要件があり3年ごとに更新する。試験は関連法令などの知識と適性、技能が問われる。実際に狩りをするには都道府県ごとに登録する。猟銃を持つ場合は銃刀法に基づく許可が要る。免許取得の問い合わせは県猟友会(0742・26・8125)。

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