東日本大震災では海外からの多大な支援も復旧・復興の原動力となった。仙台市で5月20、21の両日に開かれる先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁 会議を前に、参加6カ国の主な支援事例を振り返り、再生への道を歩み出した被災地のいまを紹介する。(報道部・小沢一成)
◎G7参加国の復興支援(1)カナダ→名取の朝市
木のぬくもりがあふれる室内に、大きな窓からたっぷりの日差しが注ぎ込む。宮城県名取市閖上にあるゆりあげ港朝市の拠点施設「メイプル館」は日曜祝日、大勢の家族連れや買い物客らでごった返す。
「まさか復活できるとは思わなかった」。ゆりあげ港朝市協同組合代表理事の桜井広行さん(61)は、しみじみ語る。新鮮な海の幸で人気だった朝市は津波で店舗や倉庫が全て流され、約50人の組合員のうち4人が犠牲になった。
先が見えない中、手を差し伸べてくれたのがカナダの連邦政府や林業団体などだ。2012年秋、名取市を通じてカナダ産木材を活用した支援の申し出が組合にあった。13年5月、いずれも木造平屋のメイプル館と店舗棟2棟が完成した。
震災前と同じ場所で営業再開を果たした朝市は、海鮮丼の店など飲食店5軒をメイプル館に新設したり、買った魚介類をその場で炉端焼きで食べられるようにしたりして、家族連れなど新たな客層を呼び込んだ。来客数は震災前の1.5倍に増えた。
「被災地でこんなに利用されている施設はない。頑張っている姿を見てほしい」と桜井さん。G7会議でカナダ関係者が朝市に来ることを心待ちにしている。
[メ モ]カナダの連邦政府や林業団体などが共同で取り組む被災地支援活動「カナダ-東北復興プロジェクト」の一環として、名取市増田に「どんぐり・アンみんな の図書室」、いわき市の障害児者支援センター「エリコ」なども建てられた。震災後の強風でマスト2本が折れた石巻市の慶長使節船サン・ファン・バウティス タ号復元船は、カナダからマスト用木材の寄贈を受け、修復された。