政府が11日に閣議決定する緊急経済対策に盛り込む税制部分の概要が9日、分かった。企業向けには、従業員の賃金を上げた場合に法人税を引き下げるほか、研究開発減税や投資減税を拡充したりする。家計向けでは、祖父母から孫の教育資金を贈与した際の贈与税を非課税とし、高齢者世代からの資金移転を進めて子育て世代を支援する。企業や家計がため込んでいるお金を投資や雇用、消費に回すよう促し、景気回復とデフレ脱却を税制面から後押しする。
安倍政権は、日銀に2%の物価上昇目標を設定するよう求めている。ただ、物価が上昇しても、従業員の賃金が上がらなければ、家計が圧迫されて消費が増えず、景気回復につながらない。このため自民党税制調査会は、賃金上昇の呼び水として、企業が給与やボーナスを上げた場合に法人税を減税することを検討する。
現行でも、企業が雇用者数を一定数増やした場合、1人当たり20万円を法人税から差し引く制度で雇用増を促しているが、賃上げにはつながらない。このため、給与などの増額に応じて、法人税を減らすような仕組みを導入する方向だ。
さらに、企業が設備投資を一定以上増やした場合の法人税の減免措置や、研究開発費に応じて法人税を低くする措置を拡充し、景気拡大につながる設備投資を促すとともに、企業の競争力強化につなげる。また、中小企業の交際費のうち非課税となる額の上限を、現行の600万円から引き上げ、赤字が多く法人税減税の恩恵が行き届きにくい中小企業を支援する。
贈与税の減免措置は、祖父母から孫にまとまった教育費を贈与する場合、孫1人当たり1000万〜1500万円を上限に非課税にする。現在も孫の大学の授業料などをその都度支払うのは非課税扱いだが、大学4年間分の学費をまとめて渡すと贈与とみなされ、課税される。子どもの住宅資金を贈与する際の現行の減免措置などとあわせ、高齢者の資産を若い世代に移転する仕組みを拡充し、子育て世帯の負担を減らして消費が増えるようにする。
緊急経済対策に盛り込む税制措置は、1月下旬に策定する13年度税制改正大綱に反映させる方針だ。