平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2連覇した仙台市出身の羽生結弦選手(24)=ANA、東北高出=の新モニュメントは、多くのファンが事前に予想した通り、同五輪のフリープログラム「SEIMEI」の印象的なシーンだった。市内で20日にあったデザイン発表式に集まったファンの脳裏に、けがの痛みに耐えながら奇跡を起こした歓喜の瞬間がよみがえった。
応募総数2万113人の中から、33倍を超える倍率を突破した約600人が発表式に招かれた。東京から夜行バスで来たという関家友子さん(39)は、「まさか当選するとは思わなかった」とうれしそうだった。
新モニュメントを設置する市地下鉄国際センター駅前には、ソチ冬季五輪で最初の金メダルを取った羽生選手、トリノ冬季五輪金メダリストの荒川静香さんのモニュメントがある。発表式の舞台にも、新モニュメントを含む3基の複製を並べ「聖地」を再現した。
午前10時15分に開会すると、細身の体を包む黒スーツ、ピンク色のネクタイ姿で羽生選手が爽やかに登場。拍手で出迎えた会場から「おかえり~」「かわいい~」と歓声が上がった。
ファンファーレを合図に羽生選手が幕を外し、「SEIMEI」のデザインが現れると、会場のボルテージが一気に上昇した。大阪府八尾市の会社員白崎由貴子さん(53)は「予想通りのデザインだったが、見た瞬間に興奮した。感動がよみがえった」と感激した。
羽生選手自身もあいさつで「平昌、ソチでの演技が記録だけでなく、モニュメントによって歴史に刻まれることがすごい。自分が五輪連覇できたことに、誇りを持ちたい」と喜んだ。
発表式で「これを機に、仙台に足を運ぶ人が増えればいい」「まだ(東日本大震災の)復興が道半ばの地域が多い。最大限のことをしたい」と地元愛を何度も口にした羽生選手。名取市のパート従業員斎千香さん(50)は「常に被災地のことを考えてくれる。本当にありがたい」と感謝した。