<製造業>配管保温材劣化、熱量3%ロス…原発7基相当

工場の配管に設置する保温材の劣化により、国内の製造業が消費するエネルギーの3%程度が無駄遣いされている可能性があることが、業界団体の推計でわかっ た。発電量に換算すると、原発7基が1年間フルに運転して生み出す電力に匹敵する。政府や電力会社は九州電力川内原発1号機を皮切りに原発再稼働を急ぐ構 えだが、老朽化設備の補修など徹底的な省エネ対策でエネルギー消費を抑える需要側の対策も求められそうだ。

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工業用保温材の施工などを手がける約450社で作る「日本保温保冷工業協会」がまとめた。保温材は、岩石やガラスなどから作り、蒸気が通る配管などに巻い て、熱が外部に逃げるのを一定程度防ぐ。高温の蒸気が流れる配管や、水を蒸気に変えるボイラーなどに設置。保温材が損傷して配管が外気にさらされたり、雨 水がしみ込んだりすれば、配管内の熱が逃げ出す。

同協会は、工場で実施している保温材の検査データや、過去の保温材出荷量などをもとに、設置済みの保温材は計1億5700万平方メートル▽その半分で劣 化が見られる▽工場の稼働時間は年8000時間程度▽配管内の温度は150~1000度--などと想定し、外部にどれだけの熱が逃げているかを試算。熱損 失は、すべての保温材が健全だった場合の約1・5倍に上り、年間220ペタジュール(ペタは1000兆、ジュールはエネルギー量の単位)が余計に失われて いると推計した。これは、出力100万キロワットの原発7基が1年間稼働した場合の発電量約613億キロワット時に匹敵する。配管を通る熱源は、製造工程 の化学処理や暖房などに使われる。製造業はここ数年、国内全体の4割に上る年間6000ペタジュール前後を消費しているが、その3%程度が無駄遣いされて いることになる。

事業者や自治体向けに啓発事業などを行う一般財団法人「省エネルギーセンター」の判治洋一理事は「設備が老朽化し、製造現場のエネルギー管理が甘くなっ ている事例は多い。省エネには最新鋭の設備導入も重要だが、老朽化設備の補修なども求められる」と指摘している。【安藤大介】

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