<認知症>地域で語る「オレンジカフェ」拡大

認知症の人や家族らが気軽に語り合う集いが仙台市内で広がっている。題して「オレンジカフェ」。国が認知症対策の一つと位置付け、対策のシンボルカラー から名付けられた取り組みだ。活発な交流を通じて予防効果が期待される上、地域の理解も重要になっていることから、参加対象を拡大する動きも出ている。
若林区今泉のグループホーム「なつぎ埜(の)」は昨年8月に「オレンジカフェいっぷく」を始めた。名称には認知症を入れず、一般のお年寄りも招く。月1 回、60代から104歳までの高齢者が頭と体の体操を楽しみ、カラオケや踊りを披露し合う。「若い頃の記憶を呼び起こして自信を取り戻してもらえる」と蓬 田隆子代表は言う。
カフェの運営に協力している地元町内会役員の板橋吉春さん(65)は「住民同士が支え合うため顔の見える関係づくりは大切。徘徊(はいかい)の早期発見にもつながる」と語る。
市介護予防推進室によると2月現在、市内にあるオレンジカフェは17カ所。厚生労働省が2012年度に奨励し始めて以来、家族の集いや高齢者サロンを母体として次々にできた。各地の地域包括支援センターが主催する例も多い。
新たな試みとして「認知症の人と家族の会県支部」副代表の蘇武徳典(よしすけ)さん(67)は昨年12月、泉区向陽台で「オレンジリング交流会」を始めた。
それまで家族中心のカフェだったが「当事者や親族だけの話し合いでは地域全体の理解は深まらない」と態勢を変更。地域の民生委員や認知症サポーターらにも参加を呼び掛けている。
厚労省の推計によると、10年後には高齢者の5人に1人が認知症になる見込み。蘇武さんは「認知症になるのは恥ずかしいことではない。近隣住民に当たり前のことのように打ち明け、発症した時には互いに助け合う地域づくりを進める必要がある」と言う。

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