詩人で童話作家の宮沢賢治(1896~1933年)の生誕120年に合わせ、仙台市青葉区でジャズカフェバーを経営する佐々木孝夫さん(67)がオリジナルTシャツを作った。賢治の作品にジャズから着想を得た詩があることを知って発案した。
Tシャツは同市在住の画家古山拓氏がデザイン。マント姿でベースを弾く賢治が描かれている。
佐々木さんが触発された詩は、26(大正15)年に詩人草野心平が主宰する同人誌「銅鑼(どら)」7号に賢治が発表した作品「『ジャズ』夏のはなしです」。「銀河軽便鉄道」を疾走する最終列車を描いた。
賢治作品には、前述の詩とほぼ同内容で詩集「春と修羅 第二集」(未刊)に収録予定だった「岩手軽便鉄道 七月(ジャズ)」もある。
佐々木さんはクラシックレコードの熱心な収集家だった賢治とジャズ音楽の意外な組み合わせに驚き、岩手県花巻市に賢治の縁者を訪ねたり文献を渉猟したりした。
「たびたび訪れていた東京・浅草の繁華街で、当時輸入されたジャズに触れた可能性が高い。今まで聴いたことがない自由な旋律を即興的な詩に反映させたのではないか」と佐々木さんは推測する。
完成したTシャツは岩手県のジャズマンに配ったほか、実費の2500円で販売している。連絡先はジャズミーブルース・ノラ022(398)6088。