1日公表された路線価で東京は前年比2.1%増と2年連続で上昇した。相続税の基礎控除が6割に引き下げられた影響もあり、国内外の富裕層や資産家らの投 資マネーが地価水準の高い都心部の不動産に集中。「億ション」と呼ばれる超高級マンションは「即日完売」し、JR山手線の駅に近いタワーマンションにも人 気が集まっている。
◇相続税対策、投資が集中
東京・南青山で、表参道駅から徒歩4分。三菱地所レジデンスが開発する「ザ・パークハウスグラン南青山」は、販売する20戸の価格が1億5000万~7 億7000万円という超高級物件だ。6月12日から応募を受け付けたところ10倍近い申し込みがあり、締め切り当日に完売した。販売担当者の上田拓さん (31)は「3週間で193件の応募は過去に経験がない」と振り返る。
JR目黒駅から徒歩1分の場所で建設されているのは、東京建物が販売する「ブリリアタワーズ目黒」。2棟940戸のうち661戸を分譲する。1億円台以 上が中心だが、4億円台という最上階の物件への反響が大きく、現金購入を検討している割合が5~6割に上る。販売担当者の鹿島康弘さん(38)は「資産形 成や投資、相続や親族のためという理由が多い」とみる。
相続税を意識し、子の住宅取得に贈与税の非課税枠を活用する親の動きもある。住友不動産が販売中のJR池袋駅から徒歩6分というタワーマンション「グラ ンドミレーニア」に4月に入居した男性会社員(29)は、自身と妻(26)の親から500万円ずつ計1000万円の援助を受けて新居を購入。「非課税枠を 活用してこの物件に決めた」と話す。
不動産調査会社「東京カンテイ」の井出武・上席主任研究員(50)は「超高層タワー物件の高層階は土地の持ち分が小さく節税効果が高い。(マンション人気の)背景の一つとして、相続税の基礎控除引き下げがあるのは間違いない」との見方を示した。【太田誠一】