<運営権売却>関西国際空港と大阪空港 2兆2000億円

太田昭宏国土交通相は25日の閣議後会見で、関西国際空港と大阪(伊丹)空港の運営権売却(コンセッション)に向けた入札条件などを定めた「実施方針」を同日付で承認したと表明した。法律で定められた手続きで、今後実施方針に従って進められる入札を経て決まった企業連合に対して、両空港の運営権が2016年1月にも移行する。
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 太田国交相は会見で「この件は成長戦略の重要施策で、コンセッションの中でも世界的に注目される大型案件だ」と述べた。運営権の売却期間は45年で、企業連合が支払う運営権の対価は、45年均等払いの場合は年490億円、総額で2兆2000億円になる。うち金利分1兆3000億円を除いた現在価値は9000億円となる。現在の両空港は、国の完全子会社の新関西国際空港会社が運営している。
 国は先月閣議決定した成長戦略改定版で、空港や道路などの運営権売却の事業規模を16年度末までに2兆~3兆円とする目標を掲げており、関空・伊丹は先行事例となる。売却益で得た資金を施設の建設にかかった費用に充当できるほか、民間ノウハウを活用して、効率化を図る狙いもある。民間の資金需要が創出されることにもなり、メガバンクなど大手金融機関も注目している。
 大阪湾の沖合を埋め立てて1994年に開港した関空は、残った多額の負債の金利負担が重く、空港経営は不安定になっていた。そこで国交省は、国内線のドル箱路線を抱える大阪空港と関空を統合させ、効率化を進めるとともに、英国の空港などで実績があった運営権売却を活用し、負債の返済を進める方針を決定。両空港は2012年に経営統合し、新たに設立された新関空会社は運営権売却に向け準備を進めていた。【吉永康朗、久田宏】
 ◇コンセッション実施方針の骨子
 ・事業期間は45年
 ・運営権の対価は均等払いで年490億円
 ・入札を経て、来年6月に優先交渉権者を選定
 ・2016年1月に運営権を移行
 ◇コンセッション
 空港や港湾、上下水道などの公共施設を国や自治体などが所有したまま、一定期間運営する権利を民間企業などに売却する方式。運営に民間ノウハウを導入して効率化するとともに、利用者にとってサービスの向上も期待できる。欧米で先行事例があり、国内では国が管理する仙台空港でも、運営権売却に向けて手続きが進められている。

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