<適少社会>津波・原発被災地10万人減

東日本大震災の津波に襲われた岩手、宮城、福島3県の沿岸自治体と、東京電力福島第1原発事故で避難区域が設定された自治体を合わせた42市町村の人口が、5年間で4.1%(10万6141人)減ったことが、2015年国勢調査から判明した。

◎23市町村減少率拡大/福島4町居住者ゼロ

42市町村を除く東北6県185市町村の人口減少率は3.7%。震災は被災地の人口流出に拍車を掛けた。被災市町村は復興事業に加え、人口減社会に適応する新たな展望と施策が求められている。
国勢調査の結果は表の通り。42市町村のうち、前回10年と比べて宮城県仙台、名取、岩沼、福島県相馬、いわきの5市と宮城県利府町の計6市町で人口が増えた。
仙台、岩沼、利府3市町は前回と比べて人口増加率が拡大した。相馬、いわき両市は減少から増加に転じた。名取市は増加率が縮小したが、増加した6市町はいずれも、震災前から宅地やマンションなど不動産物件が比較的多く、周辺から被災者を引き寄せた。
人口が減少したのは36市町村。宮城県多賀城市と福島県大熊、富岡両町は、前回は増加していたが、今回は減少に転じた。
人口減少率が拡大したのは岩手県大槌町、宮城県南三陸町など23市町村に上った。津波被害が甚大で、復興に時間がかかるため住民の帰還が進まない。
人口が11.7%減った宮城県気仙沼市は、震災前から基幹産業である水産業が低迷していた。市の担当者は「賃金の高い就労先を求めて若者の流出が続いた。震災でさらに市外に出る動きが強まった」と分析する。
岩手県宮古市など10市町は人口は減ったが、減少率は縮小した。建設作業員やボランティアが一時的に移り住んだ影響がある。国勢調査の人口は、10月1日時点で3カ月以上の居住または3カ月以上居住する予定がある人を数えるからだ。
原発事故に伴う全域避難が続くのは福島県の6町村。そのうち浪江、大熊、双葉、富岡4町は居住者ゼロで100%減となった。飯舘村は福祉施設入所者が41人、葛尾村は帰還のための準備宿泊者が18人おり、それぞれ居住と見なされた。
福島県南相馬市は18.5%減ったが、小高区の避難指示が今春解除されれば回復すると期待する。「交通網が整えば高齢者が戻りやすくなる」として、解除に合わせてJR東日本に常磐線小高-原ノ町間の運転再開を要請している。

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