宮城県石巻市の金華山の崖に産業廃棄物を不法投棄したとして、宮城県警生活環境課と石巻署は12日、廃棄物処理法違反の疑いで、金華山黄金山神社宮司奥海聖(66)=石巻市鮎川浜金華山=、同神社職員小松匡志(49)=同=、同神社の元職員で大崎八幡宮職員日野篤志(43)=東松島市牛網=の3容疑者を逮捕した。県警によると、神社が産廃管理票(マニフェスト)を作成した記録はなく、県警は30年以上前から常習的に崖に投棄していたとみて経緯を調べる。
事業者は産廃処理の際、ごみの種類や分量を記したマニフェストを処理委託業者に交付して廃棄物の移動状況を明示し、交付状況を県に毎年報告することが義務付けられている。県警によると、神社から県へのマニフェスト交付の報告はなく、神社は適正な処理場がない島内で不法に自己処理していたとみられる。
逮捕容疑は奥海、小松両容疑者は共謀して2017年6月6~9日、使用済みの蛍光灯や食器計約50キロを崖に捨てた疑い。日野容疑者は同19日~7月21日ごろ、鉄製の灯籠11基(計約1.9トン)を同じ崖に捨てた疑い。奥海、小松両容疑者は容疑を否認し、日野容疑者は「違法と思わなかった」と一部否認している。
崖は幅約20メートル、斜面の長さ約30メートル。県警によると今年4月下旬、崖で約150立方メートル分のごみを確認したが、自動販売機や電柱、東日本大震災で被災した小屋の木くずもあった。近くには焼却炉があり、焼却灰が周囲に堆積していた。
牡鹿半島の突端に浮かぶ金華山は標高445メートル、外周26キロの島。東北三大霊場に数えられ、多くの参拝客が訪れる。金華山を含む南三陸金華山国定公園は15年3月、三陸復興国立公園に編入され、景観に配慮した土地利用が求められている。