東日本大震災被災地の防災集団移転用に整備したものの、買い手がついていない宅地をめぐり、仙台市と宮城県山元町が被災者 に限らず他市町村を含む一般住民にも分譲する方針を決めたことが22日、分かった。仙台は法人も対象に含める。国土交通省によると、被災者に限っていた条 件を事実上撤廃して分譲するのは被災地で初めて。
仙台市の分譲対象は8団地計79区画。5月中旬に一般競争入札を実施し、それでも決まらない区画は常時公募して先着順で決める。詳しい募集要項を3月中旬に公表する。
6団地は若林区にある。内訳は(1)荒井公共区画整理3区画(2)荒井東11区画(3)荒井西15区画(4)荒井南1区画(5)六郷7区画(6)七郷5区 画。荒井地区の4団地計30区画は市地下鉄東西線の沿線開発を促進するため一括分譲する。残る2団地は宮城野区で田子西7区画、田子西隣接30区画。
市は昨年9月、集団移転用に整備した13団地計843区画のうち空きが出た10団地計97区画の分譲の公募を開始。2回の募集で6団地計18区画しか決まらなかった。
一方、山元町が募集を広げるのは、内陸移設するJR常磐線の新山下駅周辺のつばめの杜52区画と、新坂元駅周辺3区画。これまで5回の募集では埋まらず、 防災集団移転による居住希望をこれ以上は見込めないと判断。空き区画を被災の有無を問わない津波復興拠点整備事業に組み替えた。
募集期間は24日~3月25日。申し込み区画の重複に備え(1)町内被災者(2)被災者以外の町民(3)町外の子育て、新婚世帯(4)それ以外の町外希望者-の優先順位を設定した。
町震災復興企画課は「子育て施策の一環で、町外からの転入促進に重きを置いた。被災した子育て世帯もいると思う」と説明した。