<震災5年>被災3県知事「復興は道半ば」

東日本大震災の発生から11日で5年になるのを前に、岩手、宮城、福島3県の知事は河北新報の取材に答え、5年間の総括やこれからの展望を語った。3知事 はいずれも「復興は道半ば」との認識を示した。再生への歩みが滞らないよう、ハードとソフト両面で一層の努力が必要などと決意を述べた。
被災地の現状について達増拓也岩手県知事は、災害公営住宅の着工率が8割となり、水揚げ量が震災前の8割に回復するなど「復興は着実に進んでいる」とした。その一方で「いまだ2万人以上が仮設住宅で暮らす」などと課題を挙げた。
村井嘉浩宮城県知事は災害公営住宅が約6割完成したことから「復興は6合目」と位置付けた。「被災者の生活再建で課題を引きずっている」と指摘。教育、福祉などの分野できめ細かなソフト事業が求められているとの考えを示した。
東京電力福島第1原発事故を受け、廃炉や汚染水対策、風評被害などの問題を抱える内堀雅雄福島県知事は「復興はいまだ途上にある。課題が刻々と変化し、複雑化している」と対応の難しさを語った。
深刻化する人口減少についても、3知事は被災状況に応じた対策に言及した。
達増知事は被災者のなりわい再生や商店街再建、防潮堤整備、水産加工業の販路回復支援など力を入れる分野を示して「人口減少対策や地方創生の取り組みと融合させながら施策を進めたい」と述べた。
村井知事は沿岸部の人口減少に歯止めがかからない現状を踏まえ「観光振興による交流人口の拡大」などの対策を講じるとした。他地域から被災地に移り住んで起業する若年世代を支援する考えも示した。
内堀知事は避難者の古里への帰還を促すため、インフラ整備や医療福祉施設の再開など「避難区域の復興に最優先で取り組む」と強調。そのための各種施策の実現に向け「長期的、安定的な財源の確保」の必要性も訴えた。

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