<震災8年>被災3県の首長、5割が外国人受け入れに前向き 人口減に直面、人手不足解消に期待

4月から国内での就労が拡大する外国人労働者について、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の計42市町村のうち、半数の首長が受け入れに前向きであることが18日、河北新報社の首長アンケートで分かった。震災後、大幅な人口減少に直面し、特に製造業などの人手不足解消に期待を寄せる。一方、「分からない」が4割に上るなど、新制度の行方を見極めたいとの思いも透けて見える。

 震災8年を機に聞いたアンケートの主な回答は円グラフの通り。各市町村長の回答は「受け入れたい」19%(8人)、「どちらかといえば受け入れたい」33%(14人)で、前向きな市町村長が52%(22人)と過半数に達した。
 宮城県南三陸町の佐藤仁町長は「既に労働力不足が顕著」などと回答。佐藤町長同様、人口流出による厳しい現実を踏まえ、受け入れの必要性を説く声が大半だった。
 「分からない」は38%(16人)。いわき市の清水敏男市長が「受け入れた際の自治体への支援が見えない」と指摘したように、国の動向を見極めたいとの理由が多かった。福島県双葉町の伊沢史朗町長は「地方なので(就労を)期待できない」と冷静な見方を示した。
 人口減が比較的緩やかな仙台圏は、受け入れに消極的な意見が目立った。岩沼市と宮城県七ケ浜町は「どちらかといえば受け入れたくない」と回答。文化の違いによるトラブルなどへの懸念を示した。
 仙台市の郡和子市長は「人手不足は喫緊の課題で、外国人材の活用は現状を打破する一つの手法」としつつ、回答は「どちらとも言えない」を選択。日本語習得などサポート体制の必要性にも言及した。
 受け入れに前向きな首長に、対象業種を尋ねた結果は帯グラフの通り。最多は「製造業」21%(9人)。「その他」のうち「水産加工」との答えを合わせると計29%(12人)に達した。続いて「農林業」12%(5人)、「介護・福祉」10%(4人)だった。
 どの業種も人手不足が慢性化している。宮古市の山本正徳市長は「全ての分野で受け入れたい」と積極的なスタンスを示した。

[外国人の就労拡大]外国人の就労を単純労働分野に拡大する改正入管難民法が4月1日に施行される。政府は介護や外食、建設、農業、漁業など14業種で5年間に最大34万5150人を受け入れる計画。新たな在留資格として一定技能が必要な「特定技能1号」と、熟練技能が求められる「同2号」が創設された。2号は家族帯同ができる。国と自治体の役割分担など詳細は先送りされた。

[調査の方法]東日本大震災で津波被害を受けたり、東京電力福島第1原発事故に伴い避難区域が設定されたりした岩手、宮城、福島3県計42市町村の首長を対象に、1、2月に実施。質問項目をメールやファクスで送り、全首長から回答を得た。

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