宮城県大崎市の鳴子温泉郷の客足を呼び戻そうと、住民主体の組織「NARU-Go!再生プロジェクト」が30日、発足した。業界団体代表らでつくる従来型の組織と一線を画し、さまざまな背景を持つ有志が、湯の町の再生に向けて知恵を出し合う試みだ。
プロジェクトには、市の呼び掛けを基に、旅館経営者やおかみ、個人事業主、移住者ら20~70代の20人が参加する。
市鳴子総合支所であった初会合で、藤島善光観光交流課長は「右肩下がりの状況を打開するには従来の手法では限界がある。自ら考え、行動する姿勢で取り組んでほしい」と強調した。
観光関係者らは「今のままでは旅館の経営は厳しい」「再生への最後のチャンス」と危機感を述べた。移住者らは「豊かな資源を生かし、新しい産業を作っていきたい」と前向きに語った。メンバーは同日、温泉街を散策した。
来月の会合で、身近な魅力や取り組みたい課題を発表する。当面は代表を置かず、理念やビジョンの共有を図る。徐々に活動の進め方や具体策を詰める方針。
鳴子温泉郷の観光入り込みはピーク時の1991年に年間約400万人だったが、近年は200万人前後とほぼ半減した。