<鳴子温泉>市有源泉、管の老朽化で温泉供給量が限界 観光への影響拡大

大崎市鳴子温泉の市有源泉「下地獄源泉」の管が老朽化し温泉供給量が減っている問題で、観光への影響が長期化する様相を見せている。現在、足湯などが休止されているが、市は明確な対策を示せていない。源泉管理の専門職員の配置や修繕計画の必要性を訴える声も上がっている。

 下地獄源泉は公衆浴場「滝の湯」や「早稲田桟敷湯」、住宅など計24カ所に供給されている。2018年11月以降、20年以上前に設置された管6本のうち4本で老朽化による亀裂が見つかり使用できなくなった。
 残る2本をフル稼働しているが、供給量に限界があり、観光客に人気の足湯と温泉たまご工房は休止になった。「滝の湯」では湯温が下がるなど影響が拡大している。
 「深刻に受け止めている。鳴子温泉の評判を損なうことにつながりかねない」。伊藤康志市長は今年5月の記者会見で危機感をあらわにしたものの、市の対応はまだ定まっていない。
 市は老朽管の更新で済むのか、あるいは代替源泉の掘削が必要なのか、専門家の意見を聴いて検討している。仮に掘削となれば、必要な県自然環境保全審議会の許可が得られるのは早くとも10月以降となる。
 ある市議は「スピード感が足りない。人員に余裕がない市鳴子総合支所に任せず、緊急事態と捉え市の産業経済部が前面に出て対応するべきだ」と指摘する。
 国内有数の温泉地を抱える大分県別府市、群馬県草津町、神奈川県湯河原町などの自治体は源泉を管理運営する「温泉課」がある。旧鳴子町も温泉事業所があったが、大崎市合併後は、同事業所の機能を引き継いだ第三セクター鳴子まちづくりが指定管理者として、日常的な維持管理を担う。
 鳴子まちづくりの遊佐久則温泉事業部長は「行政の判断を待つしかなく、もどかしい。20年ぐらいの中長期的な計画を立て老朽管の更新を進めるなど、源泉管理の仕組みも見直す時機だ」と提案する。

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