<20世紀遺産>青函トンネルと小岩井農場など選定

有識者でつくる国際記念物遺跡会議(イコモス)の国内委員会は8日、後世に残したい「日本の20世紀遺産20選」として、日本で最初に開業した東海道新幹線や、明治以降の建築で初めて国宝になった東京都の迎賓館赤坂離宮、世界最長の海底トンネルの青函トンネル(青森県、北海道)、欧米牧畜業の近代技術を導入した岩手県雫石町の小岩井農場などを選んだ。
番外として、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されている原爆ドームの関連施設、広島平和記念資料館と平和記念公園も選定した。
近現代の文化遺産の価値に目を向けてもらうのが狙い。選定に携わった山名善之東京理科大教授は「保全の機運を高め、改修などの際も歴史遺産としての価値を損なわないよう配慮してほしい」と話している。
より古くからあり20世紀に発展した施設なども対象にしており、広島県東広島市の酒蔵群や佐賀県有田町の焼き物産地の景観も20選に入った。
世界的建築家・丹下健三氏が1964年の東京五輪に合わせて設計した国立代々木屋内総合競技場や、富山県の立山砂防施設群など、世界文化遺産を目指す動きがある建造物も含まれる。イコモスは世界文化遺産の審査にも関わっているが、国内委は「今回の選定はユネスコへの推薦に直接結び付くものではない」としている。
イコモスは日本を含む約30カ国の国内委に20世紀遺産の選定を呼び掛けており、結果が出そろえばウェブサイトなどで公表する。

[青函トンネル(青森県今別町-北海道知内町)] 全長53.85キロ、海底部23.3キロ。1964年5月の調査斜坑の掘削工事から20年10カ月をかけて本坑が開通した。津軽海峡線は88年3月に開業。竜飛、吉岡の2海底駅廃止2年後の2016年3月、北海道新幹線が開業した。トンネル部分の総工費は約7000億円の大事業だった。

[小岩井農場(岩手県雫石町)] 総面積約3000ヘクタールと、日本最大規模の民間農牧場。1891年、小野義真日本鉄道会社副社長、岩崎彌之助三菱社社長、井上勝鉄道庁長官が創設。牧場名は3人の頭文字に由来。21棟が国の重要文化財に指定され、多角的な事業展開で岩手の観光名所として人気を博している。

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