<Bリーグ9月開幕>増収と強化策 手堅く

バスケットボール男子、Bリーグが9月22日、開幕する。bjリーグとナショナルリーグ(NBL)が統合した国内最高峰の舞台に、東北からは1部(B1) に仙台と秋田の2球団、2部(B2)に青森、岩手、山形、福島の4球団が参戦する。資金集めや会場演出、戦力補強をどう進め、日本バスケットボール界の新 時代を生き抜くのか。各球団の現状と今季の見通しを検証した。(佐藤夏樹)

◎東北の現状と展望(1)経営

<「10億円」掲げる>
「将来、(1年間の)売り上げ10億円を目指す」。5月17日、仙台市内であったB1仙台のスポンサー感謝の集い。Bリーグでの経営目標を発表する中村彰久球団代表の言葉に力がこもった。
仙台の昨季bjリーグの売り上げ約3億7000万円は「B1下位クラス」(中村球団代表)。今季はまず4億2000万~4億5000万円を目指し、段階的にビッグクラブになる成長戦略を描く。
bj参入以来11年間続いていた債務超過解消の見通しも立った。最大で約1億円、今季初めは約7000万円あった累積債務に増資などで対応することが決まっている。
ただ、楽観はしていない。入場料収入は水ものとみる。1試合平均の観客数目標は、昨季の2248人(bjリーグ4位)から約1100人増の1試合平均3300人と、手堅く見積もったという。
bj時代の苦い経験がある。リーグ1季目の開幕戦は3987人の観客を呼び込んだ。球団は翌シーズンから、この盛り上がりが続くと踏んで予算を組んだ。し かし、観客数は想定を下回り、赤字が年々膨らんだ。結局11季を終え、1季目開幕戦が最も入場料収入の多い試合だった。

<鈍い企業の反応>
健全経営は、B1所属の条件となっている。中村球団代表は「入場料を当てに予算を増やし過ぎると失敗する」と、自らに言い聞かせる。
昨季4億円強だった売り上げを6億円に伸ばす目標を掲げるB1秋田。bjでは屈指の経営力を誇った球団にとっても、Bリーグへの期待が地方に浸透している実感は薄い。昨季の2億円のスポンサー収入に5000万円の上積みを狙うが、企業の反応は鈍い。
「リーグが言うように『メディアへの露出が増える』と説明するだけでは…。実績がないので、金を出してもらうのは厳しい」と水野勇気社長。そもそも県内に 上場企業が4社しかない現状では、スポンサー収入の急増は見込めない。球団は昨季bjリーグ2位の観客数(1試合平均2855人)を4000人に増やそう と、自慢の集客力に活路を見いだす。
東地区で潤沢な資金がある旧NBL勢のA東京(トヨタ自動車東京)、栃木(リンク栃木)、千葉と渡り合わな ければならない仙台と秋田の両球団は、選手総年俸を2倍近くに上げた。「金をかけないと弱いチームしかできないが、赤字にもできない」(中村球団代表)。 慎重に、手探りでかじを取る。

[メモ]B1、B2球団は17~18年シーズン以降、リーグ交付のライセンスが必要。選手契約などさまざま な要件が定められ、B1の財務基準では、債務超過や3季連続赤字となってはならないとされる。売り上げの基準は1億円以上。基準に満たない場合はB2降格 などの罰則を受けることがある。

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