JR四国は4月中旬にも京都市で「簡易宿所」の事業を始める。京都でノウハウを取得した上で来年度中には四国でも展開し、訪日外国人(インバウンド)を呼び込みたい考えだ。同社が四国外で宿泊事業に乗り出すのは初めて。【岩崎邦宏】
簡易宿所は宿泊者1人当たりの面積規制が緩く、通常の旅館やホテルより狭くでき、多くの客を確保できる。JR四国は、インバウンドが好調で簡易宿所が活発なことから京都を選んだ。
JR京都駅から南東約1キロの街中に、木造2階建ての古民家風建物3棟(延べ床面積各66~68平方メートル)を新築。内装には今治タオルや高知産のヒノキを使った風呂などを設け、「四国」を積極的にPRする。総事業費は1億5000万円。
施設は「4S STAY(フォース ステイ) 京都九条」と名付けた。4Sは、四国4県の4と四国の頭文字のSを意味する。運営は民泊(簡易宿所)事業を展開する京都市の会社に委託。JR四国はこの会社に建物を貸し、賃料を得る。1棟に5人が宿泊でき、料金(通常期)は2人で2万円程度を見込む。年間2000万~2500万円の売り上げを目指す。
JR四国は1987年の発足以来、本業の鉄道事業の赤字が続き、収益基盤を強化するためホテル事業などに注力している。今後、インバウンドによる収入が見込める四国の地域で空き家を活用するなどして「4S STAY」のブランドで簡易宿所を展開していく方針だ。
京都の簡易宿所は3月上旬にも外国人向けのウェブサイトで予約の受け付けを始める。半井真司社長は「収益の確保を図りながら簡易宿所のノウハウを取得し、四国に生かしたい」と狙いを語る。