AIで水揚げ魚種を自動選別 仙台・東杜シーテックなど開発中

定置網で捕った魚の種類を人工知能(AI)で判定し、自動選別する装置を東杜シーテック(仙台市宮城野区)などが開発している。手作業による現在の選別は重労働な上に一定の経験が必要で、人手不足に悩む水産現場では自動化の需要が高まっている。同社は装置の改良を重ね、2023年度の販売開始を目指す。

 同社は19年4月、ソフトウエア開発のレイティストシステム(仙台市若林区)、機械製造のシー・テック(気仙沼市)、東北大の産学研究拠点「情報知能システム(IIS)研究センター」と共同で開発に着手。気仙沼市の気仙沼漁港などで実証実験を重ねてきた。

 装置は、魚を並べてコンベヤーで送り出す「投入部」とAIが映像から魚種を見分ける「判定部」、魚を自動でトレーに振り分ける「仕分け部」からなる。判定部はサバ、アジなど4種類の魚を98%以上の精度で見分けられるという。

 改良の余地が残るのが仕分け部。魚同士の間隔が近過ぎるとトレーへの振り分けを誤る場合があり、モーターの制御方法などの改善を図る。実用化までに選別の成功率を現在の90%程度から95%以上に高めるとともに、速度を1分当たり180匹から200匹にアップするのが目標だ。

 東杜シーテックによると、水揚げした魚を大まかに仕分けるローラー選別機は35漁港で設置済みで、自動選別装置は、その下流側への導入を狙う。AIが見分ける魚種は漁港ごとにカスタマイズできる。導入費用は約4000万円を見込む。

 同社の白川清彦統括マネージャーは「水揚げは長時間の立ち作業で負荷が大きく、目利きの技術の伝承も高齢化で危ぶまれている。自動選別装置に対する期待は高い」と意気込む。

 東北経済連合会の事業化支援組織、東経連ビジネスセンターは今月、新事業に取り組む企業向けの助成事業で同社を採択した。開発費100万円を支給する。

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