BEGINの歌に涙が止まらない

【垣花正のハッピー日記】
 最近お気に入りの歌がある。石垣島出身のBEGINが唄う「パーマ屋ゆんた」だ。
 「ユンタ」とは方言で歌という意味だから、パーマ屋さんの歌という感じか。島(ふるさと)を離れ上京してしまう娘さんが、旅立つ前に、近所のパーマ屋さんに行きおめかしをする。パーマ屋さんのおばさんは、彼女の髪を幼いころから切っているわけで、別れがさびしくてしかたがない。
 「明日は内地に行くんでしょ。お金も持たさないとね」。ボーカル比嘉さんがそんな言葉を、どこか懐かしい旋律で唄う。沖縄のおばさんたちはよく、さよなら、の代わりにそんなさりげない気遣いの言葉を使うのだ。ふるさとを離れ旅立つときに感じる哀愁が「パーマ屋ゆんた」にはある。
 先週の日曜日、そんなBEGINが那覇の国際通りで、初のストリートライブをやった。国際通りといえば、戦後沖縄の復興の象徴。子供のころ、国際通りを歩くだけでドキドキした。一人で歩いて買い物ができたとき、大人の階段を登った気がした。
 そんな国際通りに対する思いは、BEGINの3人も全く同じだったようで曲の合間に「念願かなって信じられない」と語った。
 BEGINが、まだ何者でもなかったころの自分に帰り、唄う。沖縄のお客さんは素晴らしいもので、そんなBEGINに興奮するでもなく「普通」に応援していた。そんな普通さにBEGINは喜んでいた。
 久しぶりの沖縄の太陽のもとBEGINの歌を聞いた僕はというと、涙が止まらなくなってこまってしまった。
 (ニッポン放送ラジオパーソナリティィー 垣花正/SANKEI EXPRESS)
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 ■かきはな・ただし 1972年1月1日沖縄県宮古島生まれ。ニッポン放送アナウンサー。過去「ニュースわかんない」などのワイド番組を担当。現在オンエア中の「垣花正あなたとハッピー」のホームページでも「垣花 正のにっき」を更新しています。
「垣花正あなたとハッピー!」(月~金曜、午前8:00~午前11:30)AM1242 ニッポン放送でオンエア中

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