BPO、テレ朝に勧告 世田谷一家殺害事件の特番

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は12日、テレビ朝日が2014年12月28日に放送した特番「世紀の瞬間&未解決事件 日本の事件スペシャル『世田谷一家殺害事件』」について、「放送倫理上重大な問題があった」とする勧告を出した。

番組は、東京都世田谷区で00年末に起きた宮澤みきおさん一家4人殺害事件の犯人像を探るため、FBIの元捜査官が被害者遺族である入江杏さんと面談する 様子を放送。入江さんが「強い怨恨(えんこん)を持つ顔見知り犯行説」に賛同したかのように放送するなど「過剰な演出や恣意(しい)的な編集によって名誉 などを侵害された」として、本人が昨年12月に申し立てていた。

人権委は、申立人が元捜査官の見立てに賛同したかのように視聴者に受け取 られる可能性が強い内容だと判断し、公正さと適切な配慮を著しく欠いていたと指摘。新聞のテレビ欄の告知で「○○を知らないか?『心当たりがある!』遺体 現場を見た姉証言」とした表現についても、撮影中に入江さんが使った言葉ではなく「告知としてきわめて不適切」とした。一方で、入江さんの社会的評価にた だちにつながるとは言えないことなどから、「人権侵害には当たらない」と判断した。

会見した人権委の坂井眞委員長は「一定の意見や見解を言うのはテレビ局の番組として自由だ。だが、そこに出演してもらった被害者遺族の考えをゆがめて使ったり、事実を曲げたりしてはならず、事実を謙虚に扱わないといけない」と話した。

タイトルとURLをコピーしました