CLT材を活用した国内初の高層建築 三菱地所が仙台にマンション

三菱地所は直交集成板(CLT)を床材に活用した国内初の10階建て高層マンションを、仙台市泉区高森2丁目の泉パークタウン内に建設する。これまでCLTを使った建物は、高くても5~6階の中層にとどまり、今後の木造建築のモデルケースとなる可能性がある。3月下旬に着工し、来年2月の完成を予定している。

マンション建設地は、大型商業施設「仙台泉プレミアムアウトレット」の目の前にあり、延べ床面積約3600平方メートル。総戸数は39戸で、1室の専有面積は51.44~89.43平方メートル。間取りは2LDKと3LDKの2タイプある。
建物の構造は、CLTと鉄骨を組み合わせた。このうち4~10階のCLT床材は、国の認定を受けた2時間の耐火性能を持つ素材で、国内の建築物では初めて使われる。工期も鉄筋コンクリートの建物と比較して約3カ月の短縮になるという。
三菱地所は昨年、CLTの専門部署を設け、事業化に向けた研究開発を進めてきた。CLT活用で工事費の低減や工期の短縮が可能となるほか、将来のCLT建築物の普及促進に向けて、今回のプロジェクトをモデルケースとする考えだ。
同社の担当者は「今回の事業を通してCLTの高層建築物が一般的になることに加え、CLTの利用が増えれば国内の森林資源の循環に貢献できるはずだ」と話した。

[直交集成板(CLT)]クロス・ラミネーティッド・ティンバーの略で、1990年代に欧州で誕生した構造材。板の層を互いに直交するように積層接着した大型パネル。施工が簡単で工期が短縮でき、断熱性も高い。国産材の使用拡大も期待されている。

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