販売用DVDの売り上げが6年連続で前年を下回り、平成23年はピークだった17年の半分を切ることが確実になった。
背景には廉価商品があふれるDVD販売の現状と、地上デジタル放送への完全移行でDVDの画質が見劣りするといった事情が絡み、DVDがもはや“コレクターズアイテム”ではなくなったことが浮き彫りになった。
日本映像ソフト協会(JVA)が公表した昨年1-11月のビデオソフト売り上げによると、販売用DVDは1076億円で前年同期比89・5%。売り上げは17年の2622億円をピークに下がり続け、22年には1402億円にまで落ち込んでいたが、23年は12月分を入れても1300億円に届かない見通しだ。
業界誌「DVDナビゲーター」(キネマ旬報社)の林健太郎編集長は、地デジ完全移行でハイビジョンが普及したため「無料でテレビで見られる映画より、有料のDVDの方が画質が落ちるのが根本的問題。昨年後半からの売り上げ落ち込みは、この影響が大きい」と指摘。
新作映画のDVDは2-3年前から、発売半年後にはどれを選んでも3枚3000円の通称「どれ3」という販売スタイルで売られることが定着していたが、最近は発売3カ月後に1枚1000円というケースもあり、「売上額ダウンの度合いが加速した」という。
特に洋画の落ち込みが深刻で、昨年上半期で前年同期比63・4%、全体の9・8%で1割を切った。
一方、高画質の販売用ブルーレイは511億円(昨年11月まで)で、前年同期比135%と好調だ。JVAは「伸びはアニメが支えているが、洋画などへ拡大の余地がある」と期待。林編集長は「まだ一般には浸透しておらず、今後の普及次第だろう」と話している。(市川雄二)