F1開幕へ トヨタ「初勝利」に執念 ホンダ、環境問題を意識

 自動車レースの最高峰「F1グランプリ」が、いよいよ18日に決勝が行われるオーストラリアGPで開幕する。トヨタ自動車が、グループの富士スピードウェイでのGP開催を実現した勢いで、悲願の初勝利を挙げるのか。地球をイメージしたボディーカラーの新マシンで臨むホンダが、おひざ元の鈴鹿サーキットでの開催を失った悔しさをはらすのか。日本メーカー同士のバトルにも注目が集まりそうだ。
 「来年もこの場で同じことは言わせないでほしい」
 12日記者会見したトヨタの渡辺捷昭(かつあき)社長は昨季に続き、今季も「初勝利」を目指すことに悔しさをあらわにし、チームに檄(げき)を飛ばした。
 これまでホンダや欧州メーカーに比べて見劣りしていたレースの世界でも頂点に立ちたいとの思いは例年以上に強い。
 チーム成績が6位に終わった昨年の苦い経験から、今年は開発陣が一体となり情報を共有し合う「大部屋制度」を取り入れるなど、生産現場では得意の“改善”をレースにも持ち込んだ。
 初勝利への執念は、F1での戦績が、モータースポーツの本場で、トヨタにとって解題でもある欧州市場の攻略に大きく影響するためだ。
 渡辺社長は、「F1参戦から5年が経過し欧州での好感度、認知度は着実に上がっている」と、参戦効果を強調する。
 トヨタの06年の欧州販売台数は前年比13%増の112万台で、シェアは5・8%。今年は122万台を目指しており、富士開催と初勝利でシェアアップの加速を狙う。
 対するホンダは、新マシンのボディーに企業スポンサーのロゴを一切入れない地球をイメージしたカラーリングを採用。スポンサー企業にマシンの画像などを提供し広告などに使用してもらうという環境問題を強く意識した新しいビジネスモデルを導入する。
 昨季も1勝を挙げるなど、レースでの実績はトヨタより格上。日本GP開催を奪われただけに意地をみせたいところ。
 ホンダの和田康裕モータースポーツ部長は、「毎年6億人が観戦するF1を通じて、環境についての認知度を高めたい」とし、企業イメージの向上にF1を活用していく戦略だ。(池誠二郎)

コメント

タイトルとURLをコピーしました