G7環境相会合が札幌で開幕 共同声明、「原発の重要性」が焦点

先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合が15日、札幌市で開幕した。ウクライナ情勢の混迷で揺らぐエネルギーの安定供給と脱炭素の両立を目指す政府は、最終日にまとめる共同声明に「原発の重要性」を盛り込む方向で各国と調整を急ぐ。原発利用を巡り各国の方針が分かれる中、議長国として一致した対応策を見いだせるかどうかが焦点だ。

 日程は16日までの2日間で、国内で開催するG7閣僚会合の皮切りとなる。5月19~21日の首脳会議(広島サミット)に向けて全国各地で関係閣僚会合を開き、各分野の重要課題について協議を進める。

 初日の会合は午前10時に始まり、共同議長の西村明宏環境相(衆院宮城3区)と西村康稔経済産業相が冒頭、あいさつした。西村環境相は「ロシアによるウクライナ侵略は環境・エネルギー問題に重大な悪影響を及ぼし、G7の連携の重要性が高まっている。G7が率先して行動し、世界をリードすることが大事だ」と強調した。

 原発関連では、東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出と事故後の除染で発生した土の再利用についても議論される。

 政府が夏ごろまでの開始を目指す海洋放出に関しては、「透明性の高い処理水の放出に向けたプロセスを歓迎する」との文言を共同声明に盛り込むかどうか調整中だ。反対が根強い漁業者や懸念を示す中国、韓国など国内外へ安全性をアピールする狙いがある。

 気温上昇を1・5度に抑える国際枠組み「パリ協定」の目標達成に向けた温室効果ガス排出削減の加速化や生物多様性の保全、電力部門の脱炭素化として石炭火力発電の廃止といったテーマも話し合われる。

タイトルとURLをコピーしました