新型コロナウイルスの感染拡大を受け、空港や駅、高速道路で地域外からの流入者の検温をする「水際対策」を実施、または予定している自治体が12道県に上ることが読売新聞の調査でわかった。帰省などで転入してきた人に2週間の自宅待機を要請しているところも22道県あった。大型連休中に県境をまたぐ人の移動への警戒が強まっている。
GW警戒強化、来訪自粛を呼びかけ
大型連休については、政府の専門家会議が22日、帰省や人の移動で全国への感染拡大が懸念されると提言。政府が改めて外出自粛への協力を国民に求めていた。
調査では、全都道府県に、地域外からの流入者への対策を聞いた。その結果、空港や鉄道駅、高速道路のパーキングエリアで、サーモグラフィーや体温計で検温を実施しているのは、北海道、宮城、山形、群馬、長野、愛媛、熊本、鹿児島、沖縄の9道県。愛知、岡山、徳島の3県も29日から始める。
いずれも強制力はなく、来訪自粛を意識してもらったり、体調管理を促したりする啓発活動の意味合いが強い。発熱が確認されれば、保健所への連絡を促すなどしている。検温を実施していない県でも、主要駅などで県外からの来訪者にチラシを配布するなどして啓発しているところが目立った。
また、帰省や転勤などで地域外から入ってきた人に、2週間の自宅待機や外出自粛、毎日の検温などを求める自治体も22道県に上った。
和歌山県では24時間対応の「帰国者・帰省者・転勤者連絡ダイヤル」を開設し、帰省者らに連絡・登録を促している。体調不良を訴えた際に迅速に対応するためで、26日午後4時時点で1239人が登録している。
神奈川、高知、宮崎各県などはサーフィンスポット近くの公営駐車場を閉鎖。岐阜県・白川郷では路線バスをすべて運休とする。徳島県はパチンコ店に、県外からの来店を断るよう要請している。
こうした対策が広がる背景には地方の強い危機感がある。国内の感染者が東京、大阪など都市部に集中し、地方では都市部から流入した人の感染が相次いで判明している。
全国知事会は、政府に対し、大型連休中に、国が管理する道路の通行規制や駐車場の利用禁止などの特例措置を取るよう求めている。