【ロンドン=池田晋一】スウェーデンのボルボ・カーは2日、2030年までに電気自動車(EV)専業メーカーになると発表した。欧州を中心に、世界各国で環境規制が強化されているためだ。ハイブリッド車(HV)の開発で日本勢に後れを取っているとの事情もあり、他の欧州メーカーも一気にEV開発にかじを切っている。
欧州勢が先導
ボルボ・カーは昨年に初めてEVを発売した。25年に新車の半分をEVに、残り半分はガソリンエンジンとモーターを併用するHVにするとしてきたが、さらに踏み込んだ。
ホーカン・サミュエルソン最高経営責任者(CEO)は、「縮小する(ガソリン車の)ビジネスへの投資をやめ、電動化とオンラインの未来に投資する」と表明した。将来、EVはオンラインのみで売るとしている。
欧州勢では英ジャガー・ランドローバーが、高級車ブランド「ジャガー」を25年から全てEVにする。欧州最大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループは30年までに約70のEVを投入する予定で、すでに約20車種が生産されている。
排出規制
欧州では20年から二酸化炭素(CO2)の排出規制が強化され、基準を超えた場合はメーカーに罰金が科せられる。英国は30年、フランスは40年にガソリン車の販売も禁止する方針だ。市場拡大が確実視されている環境関連ビジネスで主導権を握りたいとの思惑があるとみられる。
各国政府はEV購入に多額の補助金を出し、流れを作ろうとしている。欧州自動車工業会によると、20年の欧州のEV販売は74万5000台で、前年の2倍だった。
米国勢も、欧州の動きに敏感だ。米フォード・モーターは欧州で販売する乗用車は30年までに全てEVにする。EVの販売台数で世界首位の米テスラはドイツでの生産を計画している。