iPS細胞から大量血小板…京大研究所

あらゆる組織や臓器の細胞に変化できる人のiPS細胞(新型万能細胞)から、止血効果のある血小板を大量に作り出す方法を、京都大iPS細胞研究所が開発した。将来的には、手術前に患者自身のiPS細胞から輸血用の血小板を作っておくことも可能になるという。12日に開かれる米国血液学会で発表する。
 同研究所の江藤浩之教授や中村壮研究員らは、iPS細胞の作製に使われる遺伝子「c―Myc」が、血小板を作る血液細胞「巨核球」を増やすことに着目。iPS細胞が巨核球に変化する過程で、c―Mycと、細胞増殖を助ける別の遺伝子を細胞核に導入した。この二つの遺伝子を活性化する薬剤を加えて、巨核球を大量に増やした。
 この巨核球からできた血小板を、マウスに注射して実験。血管を傷つけると、注射した血小板が数秒で傷口に集まり、止血することを確認した。
 巨核球1個からできる血小板は、人間の体内では約2000個で、輸血には数千億個の血小板が必要とされる。江藤教授は「巨核球は大量に増やせるようになったが、そこから血小板ができる効率はまだ低い。効率を上げて、輸血に必要な量を確保する技術開発を進め3、4年以内には臨床試験を行いたい」と話している。
(2011年12月11日 読売新聞)

タイトルとURLをコピーしました