LCC春秋航空、成田拠点に国内線参入 来年秋めど

中国の格安航空会社(LCC)、春秋航空(上海市)が来秋をめどに、成田空港を拠点に日本の国内線への参入を計画していることが27日、明らかになった。すでに日本法人を設立して準備に入っている。
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 春秋は2010年から上海-茨城線を就航。現在は上海-高松、佐賀の計3国際路線を運営しているが、LCCの就航が相次ぐ国内線は事業拡大の余地があると判断したとみられる。春秋は茨城線では片道で最安値4000円で提供するなど“激安”が売り物で、春秋が参入すれば低価格競争が一層進みそうだ。
 関係者によると、春秋は10月末に日本法人「春秋航空日本」(東京都墨田区)を資本金15億円で設立した。だが、国内線に参入するためには航空法の外資上限規制33%をクリアする必要があるため、13年秋までに日本企業からの出資も得て60億円まで増資する方針だ。日本法人は国土交通省の認可を得た上で、13年秋をめどに成田を発着点として札幌や福岡など高搭乗率が見込める路線への参入を検討するとみられる。国内線だけでなく、14年中には成田発着で中国、韓国などで国際線を拡充。特に中国路線は、内陸部を結ぶ新規路線も検討しているとみられる。
 春秋航空は中国初のLCCで、上海を拠点に中国の国内線をはじめ、10年には中国-日本の国際線に参入。現在の上海発着の日本3路線に加え、来年3月までには上海-関西空港の就航も計画している。日本の航空業界は今年「LCC元年」となり、国内資本のピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンの3社が就航した。欧米先進国ではLCCの市場シェアが2~3割を占めるのに対し、日本では今年8月現在で2.7%(国交省調べ)と“未開拓地”。春秋は日本市場はビジネスチャンスとみる。
 日本政府も、今年7月に閣議決定した「日本再生戦略」の中で、20年までにLCCのシェアを欧米並みの2~3割に引き上げると明記。空港側も「LCCでアジアの近距離国際線網を広げたい」(成田空港)と参入を歓迎する姿勢をとる。ただ、9月の日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化に伴い、日中関係が悪化。春秋の日本路線は搭乗率が50%以下に落ち込む便もある。こうした状況が続けば、国内線の参入時期が計画より遅れる可能性もある。

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